この記事の監修者
医師・医学博士、ウルセラ認定医
東京慈恵会医科大学医学部医学科 卒業
日々、研鑽しています。
最も信頼され、感謝されるクリニックでありたいです。
東京美容皮膚科クリニック
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日本生命浜松町クレアタワー 4F
2013/08/14
このブロブは2013年8月14日の「フラクショナルCO2レーザー」を加筆修正しました。
「ニキビが凹みとして残ってしまった」、「ファンデーションが毛穴落ちしてしまう」というお悩みは美肌を目指す中でなかなか手強いお悩みです。
ファンデーションを何種類も試したり、シリコン入りの下地を使ってみたりと日々のメイクやお手入れで工夫されている方が多いのではないでしょうか。
いっその事、肌が生まれ変わったらと思われている方には、フラクショナルCO2レーザーがおすすめです。
≪フラクショナルレーザーとは≫
・フラクショナルレーザーの歴史
従来より、「皮膚を入れ替える」治療として、皮膚をレーザーで削り、新しく皮膚を再生させる治療が行われていました。レーザーを皮膚全体に照射し、全体を剥皮していくため、治療効果が高いという利点はあったものの、治療後の赤みや、浸出液、色素沈着、瘢痕のリスクが高いという難点がありました。
2004年になり、ドットプリンターのように皮膚に小さなレーザーを多数照射するフラクショナルレーザーの概念が生み出されました。従来の皮膚全体を照射する方法に比べて、正常な部分を残しつつ点状に照射するため、治療によるリスクは軽減されました。また1つ1つの照射点においては高い出力でレーザーを照射できるため、高い治療効果を得ることが可能になりました。現在では「皮膚を入れ替える」主力の治療となりました。
・フラクショナルレーザーの作用
フラクショナルレーザーは毛根よりも細かい照射点で皮膚深くにわざと傷をつけます。レーザーの種類や組織へのダメージの程度(アブレイティブablativeかノンアブレイティブnon ablativeか)により作用は異なりますが、基本的には皮膚にレーザーを照射し、皮膚を傷つけ、その傷が修復する過程でコラーゲン、エラスチンが再生されます。コラーゲンが増えることで、小じわや肌質を改善させる若返りや、ニキビ跡や毛穴の改善を行います。
≪フラクショナルレーザーの種類と作用≫
・ノンアブレイティブ(non ablative)レーザーとアブレイティブ(ablative)レーザー
レーザーは皮膚へのダメージの程度により、ノンアブレイティブnon ablativeレーザーとアブレイティブablativeレーザーに分類されます。
ノンアブレイティブnon ablativeレーザーは真皮にわずかな損傷を与えることで、コラーゲンの再生を促します。皮膚へのダメージがマイルドなため、ダウンタイムや合併症が少ない点が利点です。
一方アブレイティブablativeレーザーは表皮から真皮までしっかり傷をつけます。ノンアブレイティブレーザーと比較して、強力に創傷治癒を促すため、ダウンタイムは強く長くでますがより強力な効果が期待できます。
・色々なフラクショナルレーザー
フラクショナルレーザーはレーザーの種類により様々な機種があります。CO2(炭酸ガス)レーザー、エルビウムグラスレーザー、エルビウムヤグレーザーなどがフラクショナルレーザーとして使用されています。
またレーザーではなく、高周波をフラクショナル化し照射する機器もあります。
・CO2フラクショナルレーザーは皮膚を入れ替え再生させます
そもそも毛穴はなぜ目立つのでしょうか?毛穴は皮脂の過剰分泌と、ハリや弾力の低下が低下すると毛穴は目立ってくると考えられています。
ニキビ跡は、ニキビの炎症が長引いたり、深くに進行していくと、炎症が治った後に瘢痕として残ることが原因です。毛穴もニキビ跡も、失ったハリや弾力を復活されるために「皮膚を入れ替える」治療が有効です。皮膚を入れ替えるには、コラーゲンを再生させることが必要です。
コラーゲンを再生させる治療には、針でわざと皮膚を傷つけるダーマペンや、薬剤によりコラーゲンをつくる線維芽細胞を刺激するマッサージピールなどがあります。
CO2フラクショナルレーザーは、皮膚の水分にレーザーを作用させ熱の力で皮膚を傷つけます。顕微鏡で見ると、照射後の皮膚にはとても小さな孔があいています。この孔は、24時間程度で収縮しながら閉じていきます。また孔の周りにも熱が加わりその部分ではコラーゲン再生が促進されます。このように、強力に皮膚の創傷治癒を促すことで、毛穴やニキビ跡を改善します。
効果は治療後すぐに実感するというよりは、コラーゲンの再生がおこる数か月後から実感できます。必要な回数は、症状、機器の種類により異なります。1~数か月程度の間隔で複数回治療を行うことが多いです。一般的にはマイルドなノンアブレイティブレーザーの方が治療回数が必要になります。
・CO2フラクショナルレーザーって痛い?
皮膚にしっかりと熱を加えるため、痛みを感じやすい施術です。痛みをやわらげるために麻酔クリームを外用します。麻酔クリームにより痛みはかなりましになります。特に痛みが心配な方は鎮痛剤の内服を併用することもあります。なお機器によっては冷却装置がついているものもあり、麻酔が必要ない場合もあります。
・CO2フラクショナルレーザーにはダウンタイムがあります
ノンアブレイティブnon ablatineレーザーでは、数日間の赤みと少しの皮むけが起こります。
アブレイティブablativeレーザーでは、数日間の赤みに加えて、しっかりとわかるかさぶたが1週間程続きます。
大事な予定がある場合には、治療はダウンタイムを考慮し計画的に受けることをおすすめします。
・CO2フラクショナルレーザーは合併症を起こすリスクがあります
従来の皮膚全体に傷をつけるレーザー照射と比較して少ないですが、炎症後色素沈着、赤みが長引くことがあります。また照射部が陥没したまま、毛穴のような状態で小さなドット状の瘢痕ができる場合があります。
またレーザー照射後の皮膚は、皮膚のバリア機能が低下しているため、感染を合併することがあります。これらの合併症を避けるためには、治療前後のケアが重要です。
・CO2フラクショナルレーザーを受けた後はケアが大切です
レーザーが照射された皮膚は、敏感肌のような状態です。合併症を防ぐためにも保護、保湿と紫外線対策がとても重要です。治療後24時間は皮膚を保護するパッドを貼ったり、白色ワセリンをぬり皮膚を保護します。洗顔も半日から24時間は控えた方がいいでしょう。かさぶたが出来始めたら、パウダーをはたく程度のメイクなら行ってもよいでしょう。
東京美容皮膚科クリニックでは、アブレイティブablativeレーザーであるアキュパルスAcuPulse®を使用しております。
照射点がとても細かく、真皮までしっかり作用させることができます。ダウンタイムもしっかり取れて、皮膚を根本から入れ替える治療を希望される方にぜひおすすめします。
CO2フラクショナルレーザーは効果がある分、適応となる症状の診断やケアが大切な治療です。当院では診断から治療まで、医師スタッフ一同責任を持って行っております。
参考文献:河野太郎(2013)『フラクショナルレーザー・高周波による最新の皮膚美容治療』形成外科 増刊Vol56 .2013.9
尾松